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湊かなえ「人間標本」こんなに透明感のあるミステリーが存在するの?って感想

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読了しました、湊かなえの「人間標本」

私にとっての湊かなえデビューです。


私にこの本を勧めてくれた人、絶妙な所でネタバレ無しで勧めてくださったな…などと。笑

読む予定の方は何も前情報入れずに読んだ方がいいかなと思うので、このページをそっ閉じで…以下ネタバレしていきます。



タイトルの通り、人間を標本にしちゃうわけですけど、まるでカタログ(作中ではレポートという表現)のように書かれていて、読んでいてとってもおもしろい…

残虐なはずの手法も、読めば読むほど「ほう、そう見えたからそのような装飾を…なるほどなるほど…」などと読み進める程に殺人がアートに見えてくるのが快感になっていく感じ…そこがまたゾッとしましたな…


至をかばうために、もともとは留美が画策して…みたいな所までは想像できちゃって「なーんだやっぱり」って思いかけたけど、杏奈も絡んでたり留美の目が普通の目になっちゃってたりしたのは予想外だったかな…

至のレポートの最後の謝辞が「お父さん、ごめんなさい」の一言だった事と、のちのち見つかった「お父さん、僕を標本にしてください」の言葉にイヤミス(=イヤな気持ちになるミステリー)というより、めちゃめちゃ切なくて悲しくなってちょっとだけ泣いてしまったよ…


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正直えーーーーーーー!?みたいな大きな驚きとかどんでん返しまではないけど、描写はもちろん、要所要所で登場人物の潔い決断みたいなのがスっと美しくって、こんなに透明感のあるスパッとしたミステリーある?って思いました。
(美しいというより諦めが早いとか投げ出してるって感じかもしれんけど…笑)

とにかくドロっとしているようで、スっとしてて、スカッとはしないんだけど、どこかギュッとなって…みたいな…(?)


お気に入りの1冊です。私に勧めてくれた人ありがとう。


おわり

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